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それにはいろんなスポーツ種目のプレイ技術能力を身につけることが重要である。子供
の時期は遊びの中で、中、高は他種目のトレーニング、プレイを楽しむことができるよう
にし、その中から自分に一番向いている種目を自然に探せばよい。互いに協力して、ぜひ
中央大学のようなところで、具体的な養成モデル、指導者養成モデルを作りたいものだ。
鶴田:柔道のヘーシングとプロレスで闘ったことがある。彼の筋肉は生活で自然に作っ
たものである。私の場合も山梨の勝沼で自然に作った筋肉である。自然の筋肉、生活筋肉
は弱そうに見えるが、しかし実際は強い。しなやかである。ところが三島由紀夫のように
人工的に作った筋肉は強そうに見えるが実際はもろい。相撲の霧島関の筋肉は本人は人工
的に作ったと言うが、私の感じでは生活で作った筋肉をあくまでも補強したものだと思う。
今日の力士は、補強でなく人工筋肉で身体を作ろうとしているが、これは大きな間違いだ
と思う。もう一度生活筋肉、自然に作る筋肉に目を向けなければならないのではないだろ
うか。これも私の修士論文の大きなテーマである。
笹原会長:今の子供たちの環境は問題だと思う。地方の子供たちはまだいいが、都会の
子供たちは遊びの中で身体を作る場がない。また全ての親たちは身体づくりよりも子供た
ちを塾通いさせなければならない。施設を作る、キャンプをさせる、などがあるが、それ
では習慣化させることが難しい。
鶴田:「生活筋力が大切」は広告コピーとしても効果があると思う。いろんなレベルで、
領域でスポーツを振興させる。そして全体との関連でレスリングに気づきを与える。従っ
てもっと外の方から攻める人材育成にも感心を向けなければならないと思う。人材育成プ
ログラムを作るにはそのための施設が必要で、それには補助金が必要ということで、どう
しても従来型対応になる。私はそうではなく、生涯学習社会を見越して、やはり大学がも
う一度そこに立ち戻って行くことがよいと思う。
この論文でもそう提案したい。最後にサッカーのJリーグをどう見られて、何を参考に
されているかをお聞きしたい。
笹原会長:サッカーはヨーロッパ、アフリカ、南米など、生活文化の中から出てきたス
ポーツである。子供たちも自然に遊びの中から学んでいる。日本はまだそこまでいってい
ない。生い立ちがぜんぜん違う。サッカーは素晴らしいスポーツである。私が昭和40年
から子供のスポーツ教室をやっているが、2〜9歳までの遊びの中で、仲間と他種目でスポ
ーツを楽しませている。キャンプ、合宿、サッカー教室などを組み合わせている。例えば、
発育、発達の中で、小学生がマット運動まで来ると、よりハードな運動を欲しがる。単純
なスポーツでなく、動きが速い神経を使うスポーツに感心を寄せるようになる。その場合
サッカーのプレイ能力は自然に身に付きやすい。そういう意味ではサッカーは効果
がある。 走ること、そして速い動き、ジャンプもあり、瞬発力もあり、そういう面
ではとてもよい。 しかし上半身は使うが手を使わない。そこでレスリングとのミックスに意味が出てくる。
レスリングは手を使う。そこで、サッカーの、プレイ能力の開発のためにも、レスリング
は効果があると思う。
レスリングはサッカーなどと組み合わさってみると、マスメディアの人気も出るのでは
ないだろうか。レスリングの施設とか環境とかは整備されても、いまのままでは、まだま
だ人気スポーツになれない。サッカーだけで身体を作り、プレイ技術を身に付けさせるこ
とにも問題がある。身体が出来ていないのだからサッカーだけではスポーツ障害の原因に
なる。サッカーも生活筋肉全体をつけながら振興を図った方がよいと思う。
鶴田:日本のレスリングもJリーグのようなプロ化のシステムを作って、アマとプロの
世界を交流させるということで、Jリーグに学ぶべきことはないだろうか。
笹原会長:プロレスの方は、一本化は無理だと思う。しかし勝利を純粋に追及する格闘
技のアマレスと、古代ギリシアのレスリングを保持しているプロレスと、格闘技として互
いに折り合う所で、協力することが大切だと思う。プロレスの世界には多くの団体があり、
これを統一することはできない。しかしプロレスの方から、アマレスの世界に入り、アマ
レスのメディア・バリューを高めることには貢献できると思う。私はこれまでの理論と実
際の経験を生かしてプロレスの一番よいところと交流できるような仕組みを考えてみたい
と思う。プロレスの方がスポーツの品格を落として周辺が拡散しているが、プロレスの品
格をあげる上にも、その交流は意義があると思う。
私のような経験を持った人が今度、アマレスの方に関わるということはどう思われます
か。
笹原会長:大いに歓迎である。協力したい。ぜひ仲間に入って欲しいと思う。私と考え
ていることが一緒なのだから。世界連盟FILA(International Amateur Wrestling Federation)
の中で考えていることも同じである。やっぱり子供時代からの生活筋肉が大切である。そ
れが人間の身体作り、体力作りの基本だからだ。私はこれまでレスリング中心の行き方を
大切のしてきたが、レスリングでは生活が成り立たない。
中央大学出先生にという話も昔いただいた。アメリカで全米選手権、世界選手権を取っ
た時に、コーネル大学、ハーバード大学から当時では凄い条件で話があった。しかし私に
は信念があったので辞退して、自分のことは自分でと思って、昭和43年体力財団を作っ
た。体力指導協会を作って、0〜100歳までの身体作りのシステム開発のためにスポーツ
医学の先生、体育学の専門分野から協力していただいた。当時、体力作りという言葉はな
く、運動、栄養、休養というのを柱にして治療より予防に目標をおいて作ったのである。
日本人はなぜ身体が小さいのか。東京オリンピックが終わった時に、その問題解決のた
めに財団を作ったのである。それが私の哲学でした。当時、日常生活の中で、四季に関係
なく、会員制でできるスポーツは何か、ということで水泳をまず選んだ。今は自治体に土
地を無償で出していただき、6ヶ所になった。自分の趣味と実益を兼ねて経営しているが、
これからも良い人と組んでやっていきたい。あなたのテーマ、内容は素晴らしい考えだか
ら、ぜひ実現させたい。また、ぜひ中央大学レスリングを互いに協力し、応援し、強くし
ていきたい。しかし、そのためには理論と実践を教えないと空論になってしまうから、立
派な修論を書いてもらいたい。
鶴田:年度内にレスリングの関係者を集めてもらって、修論を鶴田が日本のレスリング
界に提案する機会を作っていただければ、これ以上の幸せなことはない。来年は修論を書
物にしたいと思っている。また今日伺ったことは笹原会長提案、また笹原・鶴田提案とし
て発表したいと思う。古代ギリシアに学んで、レスリングと他の何種目かを組み合わせて、
新しい種目を開発したいと思う。私はギリシアを旅して思ったことであるが、5種競技の
槍投げ、円盤投げ、レスリングなど彫刻に魅せられました。そして何でこういう作品が現
在はないんだろうかと思いました。筑波大学の体育研究科の隣には芸術学群の教室があり、
筑波に来てよかったと思いました。
笹原会長:ここの話では、忘れてしまうので、レスリングと他の何種目かの組み合わせ
の競技を具体的に提言するという方法が良い。その発表イベントを作りましょう。中央大
学レスリングを強くして、そのノウハウを日本、世界にも普及させましょう。私はレスリ
ングほど身体と精神をバランスよく鍛える競技はないという信念を持っています。私は今
でもメルボルン五輪の金メダル以後、週3回練習をしていますが、最近は会議などでつぶ
れることがあり、とても残念です。また私は現在、柔道を始めましたが、これは身体を作
る糧としてとても良い。(1996年10月9日 日本体育協会において)
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